Yuri Umemoto - Super Bach Boy (2020) for cello

「スーパーバッハボーイ」について

 

「スーパーバッハボーイ」は2020年に、山澤慧さんの無伴奏チェロリサイタル・マインドツリー Vol.6にて、6年連続委嘱の第一弾として、山澤慧さんに依頼されて作曲した無伴奏チェロのための作品です。

 

マインドツリーリサイタルのバッハシリーズは2020年から6年間、チェロ組曲を毎年1曲ずつフォーカスしていきます。

 

今回の、「スーパーバッハボーイ」は様々なレトロゲーム、そして、バッハの無伴奏チェロ組曲第一番から発想を得て生まれたキャラクターです。僕の最近の興味は、音楽だけはなく、様々な媒体、表現方法で作品のイメージを共有することです。今回、音楽をキャラクター化、キャラクターを音楽化する事で、聴く人にその曲の印象をより鮮明に共有し、そこから様々な想像力を刺激します。初音ミクなどのボーカロイドのキャラクターはその良い例だと言えます。

多角的な視点で創作することによって、受け取る側へ、創作者の生み出した世界観をより強く・印象的に共有することが可能になります。

 

この作品はワールド1からワールド5までの、5つのステージからなる架空のゲームの世界が舞台です。

ゲームをプレイするように、ワープ音、レベルアップサウンド等が入り交じりながら曲は進行し、ゲーム内のキャラクターがミスするとミス音が鳴り、そのステージの最初からやり直しになります。

 

最後はバグで全ステージの要素が不規則に乱れ交じり、次第にヒートアップし、最後はフリーズ状態になり、電源が落とされます。

最後の、様々な楽想が繰り返されるごとにフレーズが短縮されいくやり方は僕の師匠からの影響があるかもしれません。(後から初演を聞いた友人から言われて気がつきました。)

 

 

「バロッコマシーン」との関連性

 

終盤、H音が突如差し込まれるシーンが何度も登場しますが、それは、2019年に作曲した「バロッコマシーン」(初演:原宗史からきています。その作品は、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番、「プレリュード」に接続するというコンセプトの作品で、今回の演奏会では、プログラムの一番最初に「バロッコマシーン」も再演されました。(今回の演奏会で山澤さんによる2回目の再演となりました。)今回の再演では、山澤さんは暗譜でこの作品に望んでおり、ボーイングや表現方法も今までとは異なる新しいアプローチで演奏してくださいました。このように常に新しいアプローチで作品を「再演」していただけることは、作曲家として何よりも嬉しいことであり、山澤さんには感謝の気持ちで一杯です。

 

 

梅本佑利 2020年10月30日

 

 

ちなみに、この作品は実験的にチップチューンバージョンも制作しており、ダウンロードカード(特別パッケージ版)を会場で販売しました。この商品は現在もオンラインで購入することができます。