Sounvity (2018) for 2 Violins, Percussion and Live Electronics [World Premiere]
June 29, 2019, Tokyo College of Music Daikanyama Campus, TCM Hall, Chamber Music Concert
Performed by Mio Kuroiwa, Hina Maeda (violin), Takuto Furukawa (percussion)
Sounvity (2018) - 2つのヴァイオリン, 打楽器, ライブエレクトロニクスのための [世界初演]
2019年6月29日, 東京音楽大学代官山キャンパス、TCMホール、室内楽演奏会
初演︰黒岩美音, 前田妃奈(ヴァイオリン), 古川拓翔(打楽器)

この曲は、ふと思いついた、「Sounvity」 (sound + gravity の混成語)、「音の重力」という漠然としたイメージから着想し、作曲を開始した。作曲を進めていくうちに、段々と付加するストーリーや、哲学的思想が構築されていった。
2019年6月4日, 梅本佑利
詳細ノート
この曲では「電波」を自分たち存在する以前から絶え間なく続いているなにかとする。それを発見したことによって、自分たちの空間、時間、社会の外側の存在の可能性を確信することになる。
● 楽章ごとのノート
①=コンセプトとなる抽象的な事柄
②=付加するストーリー
0.
①人間が振り返ってみた過去の視点(獲得した知識、発見)
1.
①人間の世界から離れていく(自分の視点体験)
②地球の重力から無重力へ(宇宙へ)
重力を音に置き換えている。ものが落ちる様子等。例えば、gllisandoや細かいボウイングの指示による重力の聴覚化(曲が進むに連れ視点は宇宙へ向かうので段々と物が落ちるスピードも変化していく。)、6小節のs.p. c.l.によるフレーズ(重力によって物が落ちる瞬間の具体的、直接的描写。)等がそれである。
2.
①(自分の視点体験)
人間のテクノロジー、知恵、文明、発見の描写。(ヴァイオリンのc.l.による機械的な、文明的な音。)
②無重力空間(宇宙空間)
無重力空間の物が推進する力の描写。無重力空間では物が動くとそのまま推進し続け、止まらない。
3.
①自分の視点体験。自分たち存在する以前から絶え間なく続いている何かを発見したことによって、(それをラジオの電波に例えている。実際に電波という存在もそうである。)自分たちの空間、時間、社会の外側の存在の可能性を確信する。
最後の25秒間のG.P.は人間が想像した「時間」と「距離」(自分を俯瞰する目〈例えば神のような存在であったり、なんだかわからないが、自分たちではない遠くから見つめる視点。〉)
②前楽章から連想したものたち。重力波等。
宇宙空間から地球へ帰還する。地球のラジオ放送(全国の天気予報〈天気予報=地球的な文明的なもの〉)をラジオで受信する。
*
楽章が0, 1, 2, 3である理由は、0という概念に起因する。
0は「何もない」に対応する基数であり、人類はその「0」という存在を発見し、大きな飛躍を遂げることができた。その、叡智の0楽章は、3楽章で発見された、「1楽章以前」である。自分たち存在する以前から絶え間なく続いている何かはそこから始まるのである。
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